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قيس ولبنى カイスとルブナー1
كَانَ قَيْسُ بْنُ ذَرِيحٍ ٱلْكِنَانِىُّ رَضِيعَ |
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キナーナ部族のカイス・ブン・ザリーフは(預言者の婿の)アリー・ブン・アビー・ターリブの |
ٱلْحُسَيْنِ بْنِ عَلِىِّ بْنِ أِبِى طَالِبٍ رَضِىَ |
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息子フサイン―2人に神が満足し給うように―の乳兄弟であった。 |
ٱللهُ عَنْهُمَا أَرْضَعَتْهُ أُمُّ قَيْسٍ |
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カイスの母がフサインに乳を飲ませた。 |
وَكَانَ مَنْزِلُ قَوْمِهِ فِى ظَاهِرِ ٱلْمَدِينَةِ |
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カイスの一族の家はメディナの郊外にあったが |
وَكَانَ هُوَ وَأَبُوهُ مِنْ حَاضِرَةِ ٱلْمَدِينَةِ |
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彼と彼の父はメディナの町中に住んでいた。 |
قَالُوا فَمَرَّ قَيْسٌ لِبَعْضِ حَاجَتِهِ بِخِيَامِ بَنِى |
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人々が言うには、カイスはある用事でカアブ・ブン・フザーア部族のテントのところを通りかかり、 |
كَعْبِ بْنِ خُزَاعَةَ فَوَقَفَ عَلَى خَيْمَةٍ مِنْهَا |
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その一つのテントのところで立ち止まった。 |
وَٱلْحَىُّ خُلُوفٌ وَٱلْخَيْمَةُ خَيْمَةُ لُبْنَى بِنْتِ |
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その部落は(男達が)留守だった。そのテントはカアブ |
ٱلْحُبَابِ ٱلْكَعْبِيَّةِ |
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部族の女性、ルブナー・ビント・フバーブのテントだった。 |
فَٱسْتَسْقَى مَاءً فَسَقَتْهُ وَخَرَجَتْ إِلَيْهِ بِهِ |
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カイスは水を飲ませてくれと頼んだ。彼女は水を汲み、それを持って彼のところへ出てきた。 |
وَكَانَتِ ٱمْرَأَةً مَدِيدَةَ ٱلْقَامَةِ شَهْلَاءَ حُلْوَةَ |
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彼女は背がすらりとして、藍色の目をした、容貌も |
ٱلْمَنْظَرِ وَٱلْكَلَامِ |
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言葉使いもかわいい女性だった。 |
فَلَمَّا رَآهَا وَقَعَتْ فِى نَفْسِهِ وَشَرِبَ ٱلْمَاءَ |
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彼は彼女を見たとき彼女が心の中に落ちた(好きになった)。彼は水を飲んだ。 |
فَقَالَتْ لَهْ أَتَنْزِلُ فَتَتَبَرَّدَ عِنْدَنَا قَالَ نَعَمْ |
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彼女は彼に言った。立ち寄って私達のところで涼んでいきますか。彼は言った。はい。 |
فَنَزَلَ بِهِمْ وَجَاءَ أَبُوهَا فَنَحَرَ لَهُ وَأَكْرَمَهُ |
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彼は彼らのところに立ち寄った。彼女の父が来て彼をもてなすためにラクダを殺し、彼に敬意を表した。 |
فَٱنْصَرَفَ قَيْسٌ وَفِى قَلْبِهِ مِنْ لُبْنَى حَرٌّ |
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彼は立ち去ったが、心にはルブナーへの熱い思いが |
لَا يَطْفَأُ |
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消えないでいた。 |
فَجَعَلَ يَنْطِقُ بِٱلشِّعْرِ فِيهَا حَتَّى شَاعَ |
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彼は彼女についての詩を詠み始め、やがてそれが広がり、 |
وَرُوِىَ |
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人々によって伝えられた。 |
ثُمَّ أَتَاهَا يَوْمًا آخَرَ وَقَدِ ٱشْتَدَّ وَجْدُهُ بِهَا |
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そして別の日、彼は彼女のところに来たが、彼女を慕う思いは既に強くなっていた。 |
فَسَلَّمَ فَظَهَرَتْ لَهُ وَرَدَّتْ سَلَامَهُ وَتَحَفَّتْ |
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彼が挨拶すると彼女が現れ挨拶を返し、好意を示した。 |
بِهِ فَشَكَا إِلَيْهَا مَا يَجِدُ بِهَا وَمَا يَلْقَى مِنْ |
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彼は彼女に自分が恋い焦がれていること、彼女を心に思っていることを訴えた。 |
حُبِّهَا وَشَكَتْ إِلَيْهِ مِثْلَ ذٰلِكَ فَأَطَالَتْ |
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彼女も彼に同様のことを長々と訴えた。 |
وَعَرَفَ كُلُّ وَاحِدٍ مِنْهُمَا مَا لَهُ عِنْدَ |
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2人とも相手がどのように思っているかを |
صَاحِبِهِ |
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知った。 |
فَٱنْصَرَفَ إِلَى أَبِيهِ وَأَعْلَمَهُ حَالَهُ وَسَأَلَهُ |
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そこで彼は自分の父親のところへ行き、事情を知らせ、 |
أَنْ يُزَوِّجَهُ إِيَّاهَا |
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彼女と結婚させてくれるよう頼んだ。 |
فَأَبَى عَلَيْهِ وَقَالَ يَا بُنَىَّ عَلَيْكَ بِإِحْدَى |
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父は拒んだ。そして言った。息子よ、お前の従姉妹の |
بَنَاتِ عَمِّكَ فَهُنَّ أَحَقُّ بِكَ |
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1人を選べ、彼女らのほうがお前にふさわしい。 |
وَكَانَ ذَرِيحٌ كَثِيرَ ٱلْمَالِ مُوسِرًا فَأَحَبَّ أَنْ |
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(父の)ザリーフは財産が多く、裕福で、息子が他の部族の女のところへ |
لَا يَخْرُجَ ٱبْنُهُ إِلَى غَرِيبَةٍ |
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出て行かないことを望んだ。 |
فَٱنْصَرَفَ قَيْسٌ وَقَدْ سَاءَهُ مَا خَاطَبَهُ أَبُوهُ |
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カイスは立ち去ったが、父親が言ったことに悲しんで |
بِهِ |
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いた。 |
فَأَتَى أُمَّهُ فَشَكَا ذٰلِكَ إِلَيْهَا وَٱسْتَعَانَ بِهَا |
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そして母親のところに来て彼女にそれを訴え、父親に |
عَلَى أَبِيهِ فَلَمْ يَجِدْ عِنْدَهَا مَا يُحِبُّ |
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対して助けを求めたが、彼女のところでは望むことを見いだせなかった。 |
فَأَتَى ٱلْحُسَيْنَ بْنَ عَلِىِّ بْنِ أَبِى طَالِبٍ |
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そこで(乳兄弟の)フサイン・ブン・アリー・ブン・アビー・ターリブと、イブン・ |
وَٱبْنَ أَبِى عَتِيقٍ فَشَكَا إِلَيْهِمَا مَا بِهِ |
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アビー・アティークのところに来て、2人に、起こったことと |
وَ مَا رَدَّ عَلَيْهِ أَبُوهُ |
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それに対する父親の返答を訴えた。 |
فَقَالَ لَهُ ٱلْحُسَيْنُ أَنَا أَكْفِيكَ فَمَشَى مَعَهُ |
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フサインは彼に言った。私があなたに代わって世話をしよう。そして彼と一緒にルブナーの父親のところへ |
إِلَى أَبِى لُبْنَى |
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足を運んだ。(フサインは預言者ムハンマドの孫) |
فَلَمَّا بَصُرَ بِهِ أَعْظَمَهُ وَوَثَبَ إِلَيْهِ |
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ルブナーの父は彼を見ると敬意を表して彼のところへ飛んできて |
وَقَالَ لَهُ يَا ٱبْنَ رَسُولِ ٱللهِ مَا جَاءَ بِكَ |
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言った。預言者の息子よ、どうしてここへ来られたのか。何故私のところへ |
أَلَّا1 بَعَثْتَ إِلَىَّ فَـأَتَيْتُكَ |
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使いをよこされなかったのですか、そうすれば私のほうから出向きましたのに。 |
قَالَ إِنَّ ٱلَّذِى جِئْتُ فِيهِ يُوجِبُ قَصْدَكَ |
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フサインは言った。私が来た用件にはあなたを訪れることが必要だったのだ。 |
وَقَدْ جِئْتُكَ خَاطِبًا ٱبْنَتَكَ لُبْنَى لِقَيْسِ بْنِ |
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私はカイス・ブン・ザリーフのために、あなたの娘のルブナーに求婚しに |
ذَرِيحٍ |
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来たのだ。 |
فَقَالَ يَا ٱبْنَ رَسُولِ ٱللهِ مَا كُنَّا لِنَعْصِىَ |
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ルブナーの父は言った。預言者の息子よ、我々は何事も決してあなたに背くものではなく、 |
لَكَ أَمْرًا وَمَا بِنَا عَنِ ٱلْفَتَى رَغْبَةٌ |
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その青年を嫌うわけでもありません。 |
وَلٰكِنَّ أَحَبَّ ٱلْأَمْرِ إِلَيْنَا أَنْ يَخْطُبَهَا ذَرِيحٌ |
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しかし、我々にとって最も好ましいのは、彼の父親のザリーフが求婚すること、 |
أَبُوهُ عَلَيْنَا وَأَنْ يَكُونَ ذٰلِكَ عَنْ أَمْرِهِ |
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そのことが彼のほうから行われることです。 |
فَإِنَّا نَخَافُ إِنْ لَمْ يَسْعَ أَبُوهُ فِى هٰذَا أَنْ |
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彼の父親がこのことに積極的にならないなら、我々にとって恥となり、 |
يَكُونَ عَارًا وَسُبَّةً عَلَيْنَا |
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不名誉になることを我々は怖れます。 |
فَأَتَى ٱلْحُسَيْنُ رَضِىَ ٱللهُ عَنْهُ ذَرِيحًا |
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そこでフサイン―神が彼に満足し給うように―はザリーフと彼の一族のところへ行ったが、 |
وَقَوْمَهُ وَهُمْ مُجْتَمِعُونَ فَقَامُوا إِلَيْهِ إِعْظَامًا |
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彼らは集まっていて、彼に敬意を表してやって来て |
لَهُ وَقَالُوا لَهُ مِثْلَ قَوْلِ ٱالْخُزَاعِيِّينَ |
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(ルブナーの)フザーア部族の人達と同様のことを言った。 |
فَقَالَ لِذَرِيحٍ أَقْسَمْتُ عَلَيْكَ إِلَّا خَطَبْتَ |
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フサインはザリーフに言った。あなたの息子のカイスのためにルブナーに求婚するよう、 |
لُبْنَى لِٱبْنِكَ قَيْسٍ |
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誓ってあなたにお願いする。 |
قَالَ ٱلسَّمْعُ وَٱلطَّاعَةُ لِأَمْرِكَ |
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ザリーフは言った。承知しました。 |
فَخَرَجَ مَعَهُ فِى وُجُوهٍ مِنْ قَوْمِهِ حَتَّى أَتَوْا |
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彼は一族の主だった者達を率いて出かけ、ルブナーのところに来た。 |
لُبْنَى فَخَطَبَهَا ذَرِيحٌ عَلَى ٱبْنِهِ إِلَى أَبِيهَا |
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ザリーフは彼女の父親に、息子と彼女との結婚を申し込んだ。 |
فَزَوَّجَهُ إِيَّاهَا وَزُفَّتْ إِلَيْهِ بَعْدَ ذٰلِكَ |
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そして彼を彼女と結婚させ、その後、彼女は行列で彼のもとに送られた。 |
فَأَقَامَتْ مَعَهُ مُدَّةً لَا يُنْكِرُ أَحَدٌ مِنْ |
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彼女は彼と共にしばらく暮らし、お互いがその相手に対し |
صَاحِبِهِ شَيْئًا |
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何も気に入らないところはなかった。(2に続く) |
1 أَلَا と同じだが意味が強い |
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