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جميل وبثينة ジャミールとブサイナ 2
وَقَالَ كُثَيِّرُ عَزَّةَ لَقِيَنِى مَرَّةً جَمِيلُ بُثَيْنَةَ |
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クサイイル・アッザが言った。あるとき私はジャミール・ブサイナ(ブサイナの恋人ジャミール)と会った。 |
فَقَالَ مِنْ أَيْنَ أَقْبَلْتَ |
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彼は言った。君はどこから来たのか。 |
فَقُلْتُ مِنْ عِنْدِ أَبِى ٱلْحَبِيبَةِ يَعْنِى بُثَيْنَةَ |
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私は言った。恋人つまりブサイナの父のところから。 |
فَقَالَ وَإِلَى أَيْنَ تَمْضِى قُلْتُ إِلَى ٱلْحَبِيبَةِ |
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彼は言った。どこへ行くのか。私は言った。恋人つまり |
يَعْنِى عَزَّةَ |
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アッザのところへ。 |
فَقَالَ لَا بُدَّ أَنْ تَرْجِعَ عَوْدَكَ عَلَى بَدْئِكَ |
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彼は言った。君は最初からやり直して、私のために |
فَتَتَّخِذَ لِى مَوْعِدًا مِنْ بُثَيْنَةَ |
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ブサイナから約束を取ってきてくれなくてはならない。 (彼は求婚を断られ出入り禁止になっている) |
فَقُلْتُ عَهْدِى بِهَا ٱلسَّاعَةَ وَأَنَا أَسْتَحْيِى أَنْ |
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私は言った。彼女に会ったのはたった今だ。引き返すの |
أَرْجِعَ |
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は恥ずかしい。 |
فَقَالَ لَا بُدَّ مِنْ ذٰلِكَ |
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彼は言った。どうしてもそうしなければならない。 |
فَقُلْتُ مَتَى عَهْدُكَ بِبُثَيْنَةَ |
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私は言った。この前ブサイナにいつ会ったのか。 |
فَقَالَ مِنْ أَوَّلِ ٱلصَّيْفِ وَقَعَتْ سَحَابَةٌ |
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彼は言った。夏の初め、ダウムの谷底に雲が落ちた |
بِأَسْفَلِ وَادِى ٱلدَّوْمِ |
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(雨が降った)ときだ。 |
فَخَرَجَتْ وَمَعَهَا جَارِيَةٌ لَهَا تَغْسِلُ ثِيَابًا |
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彼女は下女を連れて、着物を洗いに出てきた。 |
فَلَمَّا أَبْصَرَتْنِى أَنْكَرَتْنِى فَضَرَبَتْ يَدَهَا إِلَى |
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彼女は私を見たとき、私だと気付かなかった。彼女は |
ٱلثَّوْبِ فِى ٱلْمَاءِ فَٱلْتَحَفَتْ بِهِ |
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水につけてあった着物に手をかけて、それをまとった。 |
وَعَرَفَتْنِى ٱلْجَارِيَةُ فَأَعَادَتِ ٱلثَّوْبَ إِلَى |
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しかし下女が私だと認め、それで彼女は着物を水に |
ٱلْمَاءِ وَتَحَدَّثْنَا سَاعَةً حَتَّى غَابَتِ ٱلشَّمْسُ |
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戻した。私達は太陽が隠れるまでしばらく話をした。 |
فَسَأَلْتُهَا ٱلْمَوْعِدَ فَقَالَتْ أَهْلِى سَائِرُونَ |
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私は彼女に(次に会う)約束の日と場所を尋ねた。彼女は言った。私の家族は旅立つところです。 |
وَلَا لَقِيتُهَا بَعْدَ ذٰلِكَ وَلَا وَجَدْتُ أَحَدًا آمَنُهُ |
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その後私は彼女に会っていないし、信頼できる人も見つからなかった。 |
فَأُرْسِلَهُ إِلَيْهَا |
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(そういう人がいれば)彼女のところへ使いに行ってもらったのだが。 |
فَقَالَ لَهُ كُثَيِّرٌ فَهَلْ لَكَ أَنْ آتِىَ ٱلْحَىَّ |
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クサイイルは彼に言った。私が部落に行って |
فَأَتَعَرَّضَ بِأَبْيَاتِ شِعْرٍ أَذْكُرُ فِيهَا هٰذِهِ |
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詩句を示し、その中でこのほのめかしを述べたら |
ٱلْعَلَامَةَ إِنْ لَمْ أَقْدِرْ عَلَى ٱلْخَلْوَةِ بِهَا |
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どうか、もし、彼女と2人きりになることができなければ。 |
قَالَ وَذٰلِكَ ٱلصَّوَابُ |
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彼は言った。まさにそれだ。 |
فَخَرَجَ كُثَيِّرٌ حَتَى أَنَاخَ بِهِمْ فَقَالَ لَهُ أَبُوهَا |
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そこでクサイイルは出て行き、彼らのところでラクダを止めた。彼女の父が彼に言った。 |
مَا رَدَّكَ يَا ٱبْنَ أَخِى |
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我が兄弟の息子よ(実際の親族関係ではない)、なぜ戻ってきたのか。 |
قَالَ قُلْتُ أَبْيَاتًا عَرَضَتْ فَأَحْبَبْتُ أَنْ |
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彼は言った。私は心に浮かんだ詩を詠みました。それを |
أَعْرِضَهَا عَلَيْكَ |
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あなたに示したいと思ったので。 |
قَالَ هَاتِهَا فَأَنْشَدْتُهُ وَبُثَيْنَةُ تَسْمَعُ |
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彼は言った。詠んでみよ。それで私は、ブサイナが聞いているところで詩を詠んだ。 |
فَقُلْتُ لَهَا يَا عَزَّ أُرْسِلُ صَاحِبِى |
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私は彼女に言った アッザよ (自分の恋人の名を使っている) |
إِلَيْكِ رَسُولًا وَٱلرَّسُولُ مُوَكَّلُ |
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友達を使いとして送ろう その使いは信頼できる |
بِأَنْ تَجْعَلِى بَيْنِى وَبَيْنَكِ مَوْعِدًا |
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私とあなたの間で約束を決め |
وَأَنْ تَأْمِرِينِى بِٱلَّذِى فِيهِ أَفْعَلُ |
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私が実行することについて言いつけてもらうため |
وَآخِرُ عَهْدِى مِنْكِ يَوْمَ لَقِيتِنِى |
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この前あなたに会ったのは |
بِأَسْفَلِ وَادِى ٱلْدَّوْمِ وَٱلثَّوْبُ يُغْسَلُ |
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ダウムの谷底で着物を洗っているときに会った日 |
قَالَ فَضَرَبَتْ بُثَيْنَةُ جَانِبَ خِدْرِهِا وَقَالَتِ |
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彼は言った。ブサイナはカーテンのかたわらを叩いて |
ٱخْسَأِ ٱخْسَأْ |
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言った。失せろ、失せろ。 |
فَقَالَ لَهَا أَبُوهَا مَهْيَمْ6 يَا بُثَيْنَةُ |
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彼女の父が彼女に言った。どうしたのか、ブサイナよ。 |
فَقَالَتْ كَلْبٌ يَأْتِينَا إِذَا نَوَّمَ ٱلنَّاسُ مِنْ وَرَاءِ |
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彼女は言った。人々が寝静まって、丘の向こうから |
ٱلرَّابِيَةِ |
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犬が来たのです。 |
ثُمَّ قَالَتْ لِلْجَارِيَةِ ٱبْغِينَا مِنَ ٱلدَّوْمَاتِ |
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そして彼女は下女に言った。ダウマート(地名)から、たきぎを探してきなさい。 |
حَطَبًا لِنَذْبَحَ لِكُثَيِّرٍ شَاةً وَنَشْوِيَهَا لَهُ |
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クサイイルのために羊を殺してそれを焼くために。 |
فَقَالَ كُثَيِّرٌ أَنَا أَعْجَلُ مِنْ ذٰلِكَ |
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クサイイルは言った。私はそれよりも急いでいます。 |
وَرَاحَ إِلَى جَمِيلٍ فَأَخْبَرَهُ |
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そしてジャミールのところへ行き、そのことを知らせた。 |
فَقَالَ جَمِيلٌ ٱلْمَوْعِدُ ٱلدَّوْمَاتُ |
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ジャミールは言った。約束の場所はダウマートだ。 |
وَخَرَجَتْ بُثَيْنَةُ وَصَوَاحِبَهَا7 إِلَى ٱلدَّوْمَاتِ |
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ブサイナは下女たちを連れてダウマートに出かけた。 |
وَجَاءَ جَمِيلٌ وَكُثَيِّرٌ إِلَيْهِنَّ فَمَا بَرِحُوا حَتَّى |
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ジャミールとクサイイルは彼女らのところへ行った。そして |
بَرَقَ ٱلصُّبْحُ |
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朝が明けるまでそのままいた。 |
فَكَانَ كُثَيِّرٌ يَقُولُ مَا رَأَيْتُ مَجْلِسًا قَطُّ |
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クサイイルは言っていた。私はその集まりより美しい |
أَحْسَنَ مِنْ ذٰلِكَ ٱلْمَجْلِسِ وَلَا مِثْلَ عِلْمِ |
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集まりを見たことがなく、一方がもう一方の心を |
أَحَدِهِمَا بِضَمِيرِ ٱلْآخَرِ مَا أَدْرِى أَيُّهُمَا |
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このように知っているのを見たことがない。私はどちらが |
كَانَ أَفْهَمَ |
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相手のことを一層よく理解していたのか知らない。 |
وَقَالَ ٱلْحَافِظُ أَبُو ٱلْقَاسِمِ ٱلْمَعْرُوفُ بِٱبْنِ |
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イブン・アサーキルとして知られるハーフィズのアブー・ |
عَسَاكِرَ فِى تَارِيخِهِ ٱلْكَبِيرِ قَالَ أَبُو بَكْرٍ |
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カーシムは彼の『大史』の中で言っている。アブー・バクル・ムハンマド・ |
مُحَمَّدُ بْنُ ٱلْقَاسِمِ ٱلْأَنْبَارِىُّ أَنْشَدَنِى أَبِى |
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ブン・カーシム・アンバーリーいわく、私の父が、ジャミール・ブン・マアマルの |
هٰذِهِ ٱلْأَبْيَاتَ لِجَمِيلِ بْنِ مَعْمَرٍ قَالَ وَتُرْوَى |
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これらの詩句を私に詠んでくれた。しかし他の者の詩だと |
لِغَيْرِهِ أَيْضًا وَهِىَ |
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も伝えられる。それは |
مَا زِلْتُ أَبْغِى ٱلْحَىَّ أَتْبَعُ فَلَّهُمْ |
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私は部族の人を捜し求めつづけ、散り散りになった一行を追い続けた |
حَتَّى دُفِعْتُ إِلَى رَبِيبَةِ هَوْدَجِ |
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そしてついにラクダかごの養女(箱入り娘)のところへ追いやられた(着いた) |
فَدَنَوْتُ مُخْتَفِيًا أُلِمُّ بِبَيْتِهَا |
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私はひそかに近づき、彼女の家の前にたたずみ |
حَتَّى وَلَجْتُ إِلَى خَفِىِّ ٱلْمَوْلِجِ |
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そして隠された入り口に入った |
فَتَنَاوَلَتْ رَأْسِى لِتَعْرِفَ مَسَّهُ |
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彼女は(誰なのかと)手触りを知るために、手探りし 私の頭をとらえた |
بِمُخَضَّبِ ٱلْأَطْرَافِ غَيْرِ مُشَنَّجِ |
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ヘナで染めたしわ一つない指先で |
قَالَتْ وَعَيْشِ أَخِى وَنِعْمَةِ وَالِدِى |
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彼女は言った。私の兄の命に誓って 私の父の恵みに誓って |
لَأُنَبِّهَنَّ ٱلْقَوْمَ إِنْ لَمْ تَخْرُجِ |
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出て行かなければ人を起こしますよ |
فَخَرَجْتُ خِيفَةَ قَوْلِهَا فَتَبَسَّمَتْ |
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私が彼女の言葉を怖れて出ると彼女は笑った |
فَعَلِمْتُ أَنَّ يَمِينَهَا لَمْ تَلْجَجِ |
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彼女がその誓いを固守しないのを私は知った |
فَلَثِمْتُ فَاهَا آخِذًا بِقُرُونِهَا |
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私は彼女の鬢(びん)をとらえ、その口に接吻した |
شُرْبَ ٱلنَّزِيفِ بِبَرْدِ مَاءِ ٱلْحَشْرَجِ |
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渇いた者が泉の冷たい水を飲むように |
6 感嘆詞 「どうしたのか」の意 |
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(3に続く) |
7 下女たちはブサイナと同列ではないので、主語の主格ではなく、「~と共に」の意のوَ に続く対格で読む |