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سيبويه シーバワイヒ 1
أَبُو بِشْرٍ عَمْروُ بْنُ عُثْمَانَ بْنِ قُنْبَرٍ |
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アブー・ビシュル・アムル・ブン・ウスマーン・ブン・クンバル |
ٱلْمُلَقَّبُ سِيبَوَيْهِ مَوْلَى بَنِى ٱلْحٰرِثِ بْنِ |
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別名シーバワイヒ、ハーリス・ブン・カアブ部族の庇護民。一説では |
كَعْبٍ وَقِيلَ آلُ ٱلرَّبِيعِ بْنِ زِيَادٍ ٱلْحَارِثِىِّ |
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ラビーウ・ブン・ジヤード・ハーリシー一族とも言われる。 |
كَانَ أَعْلَمَ ٱلْمُتَقَدِّمِينَ وَٱلْمُتَأَخِّرِينَ بِٱلنَّحْوِ |
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彼は後にも先にも、文法に関して最も優れた学者であり、 |
وَلَمْ يُوضَعْ فِيهِ مِثْلُ كِتَابِهِ |
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彼の本に匹敵するようなものは書かれなかった。 |
وَذَكَرَهُ ٱلْجَاحِظُ يَوْمًا فَقَالَ لَمْ يَكْتُبِ ٱلنَّاسُ |
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ジャーヒズはある日、彼のことを述べて言った。人々は |
فِى ٱلنَّحْوِ كِتَابًا مِثْلَهُ وَجَمِيعُ كُتُبِ ٱلنَّاسِ |
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文法について彼のようには書かなかった。人々の本は |
عَلَيْهِ عِيَالٌ |
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すべて彼の本の扶養家族である。(彼の本を元に成り立っている) |
وَقَالَ ٱلْجَاحِظُ أَرَدْتُ ٱلْخُرُوجَ إِلَى مُحَمَّدِ |
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またジャーヒズは言った。私はムハンマド・ブン・アブドゥルマリク・ザイヤート |
ٱبْنِ عَبْدِ ٱلْمَلِكِ ٱلزَّيَّاتِ وَزِيرِ ٱلْمُعْتَصِمِ |
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―(カリフ)ムウタシムの宰相―のところへ出かけようと思い、 |
فَفَكَّرْتُ فِى شَىْءٍ أُهْدِيهِ لَهُ |
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彼に贈るべきものを考えた。 |
فَلَمْ أَجِدْ شَيْئًا أَشْرَفَ مِنْ كِتَابِ سِيبَوَيْهِ |
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それでシーバワイヒの本以上に貴重なものを見出さなかった。 |
فَلَمَّا وَصَلْتُ إِلَيْهِ قُلْتُ لَهُ |
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彼のところに着いたとき私は言った。 |
لَمْ أَجِدْ شَيْئًا أُهْدِيهِ لَكَ مِثْلَ هٰذَا ٱلْكِتَابِ |
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あなたに贈るものとして、この本のような(ふさわしい)ものをほかには見つけませんでした。 |
وَقَدِ ٱشْتَرَيْتُهُ مِنْ مِيرَاثِ ٱلْفَرَّاءِ |
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私はそれをファッラーウ(学者の名)の遺産から買いました。 |
فَقَالَ وَٱللهِ مَا أَهْدَيْتَ لِى شَيْئًا أَحَبَّ إِلَىَّ |
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彼は言った。あなたが私に贈ってくれたもので、 |
مِنْهُ |
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これ以上に私の気に入ったものはない。 |
وَرَأَيْتُ فِى بَعْضِ ٱلتَّوَارِيخِ أَنَّ ٱلْجَاحِظَ لَمَّا |
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私(著者)はある歴史書で次のことを読んだ。ジャーヒズは |
وَصَلَ إِلَى ٱبْنِ ٱلزَّيَّاتِ بِكِتَابِ سِيبَوَيْهِ |
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イブン・ザイヤートのところへシーバワイヒの本を持って行ったとき |
أَعْلَمَهُ بِهِ قَبْلَ إِحْضَارِهِ |
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持参する前にそのことを彼に知らせた。 |
فَقَالَ لَهُ ٱبْنُ ٱلزَّيَّاتِ أَوَظَنَنْتَ أَنَّ خِزَانَتَنَا |
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するとイブン・ザイヤートは言った。あなたは私の書庫に |
خَالِيَةٌ مِنْ هٰذَا ٱلْكِتَابِ |
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この本がないと思っていたのか。 |
فَقَالَ ٱلْجَاحِظُ مَا ظَنَنْتُ ذٰلِكَ وَلٰكِنَّهَا1 |
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ジャーヒズは言った。そうは思いませんでしたが、これは |
بِخَطِّ ٱلْفَرَّاءِ وَمُقَابَلَةِ ٱلْكِسَائِىِّ وَتَهْذِيبِ |
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ファッラーウの筆跡により、キサーイー(文法学者)による校合で、アムル・ブン・バハル・ジャーヒズ― |
عَمْرِو بْنِ بَحْرٍ ٱلْجَاحِظِ يَعْنِى نَفْسَهُ |
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すなわち彼自身―の改訂によるものです。 |
فَقَالَ ٱبْنُ ٱلزَّيَّاتِ هٰذِهِ أَجَلُّ نُسْخَةٍ تُوجَدُ |
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イブン・ザイヤートは言った。これは最も立派で貴重な |
وَأَعَزُّهَا |
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写本である。 |
فَأَحْضَرَهَا إِلَيْهِ فَسُرَّ بِهَا وَوَقَعَتْ مِنْهُ |
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それでジャーヒズは彼のところへそれを持参した。彼は |
أَجْمَلَ مَوْقِعٍ |
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喜び、それは彼にとって最も大切なものとなった。 |
وَأَخَذَ سِيبَوَيْهِ ٱلنَّحْوَ عَنِ ٱلْخَلِيلِ بْنِ أَحْمَدَ |
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シーバワイヒは文法を、前述のハリール・ブン・アハマド |
ٱلْمُقَدَّمِ ذِكْرُهُ وَعَنْ عِيسَى بْنِ عُمَرَ وَيُونُسَ |
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やイーサー・ブン・ウマルやユーヌス・ブン・ハビーブや |
ٱبْنِ حَبِيبٍ وَغَيْرِهِمْ وَأَخَذَ ٱللُّغَةَ عَنْ أَبِى |
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その他の人々から学び、アラビア語をアフハシュ・アクバ |
ٱلْخَطَّابِ ٱلْمَعْرُوفِ بِٱلْأَخْفَشِ ٱلْأَكْبَرِ |
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ルとして知られるアブ―・ハッターブや他の者に学んだ。 |
وَغَيْرِهِ وَقَالَ ٱبْنُ ٱلنَّطَّاحِ |
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イブン・ナッターフは言っている。 |
كُنْتُ عِنْدَ ٱلْخَلِيلِ بْنِ أَحْمَدَ فَأَقْبَلَ سِيبَوَيْهِ |
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私はハリール・ブン・アハマドのところにいた。するとシーバワイヒが来た。 |
فَقَالَ ٱلْخَلِيلُ مَرْحَبًا بِزَائِرٍ لَا يَمَلُّ |
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するとハリールは言った。倦むことなき客人よ、ようこそ。 |
قَالَ أَبُو عَمْرٍو ٱلْمَخْزُومِىُّ وَكَانَ كَثِيرَ |
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アブー・アムル・マフズーミー、彼はハリールのところに |
ٱلْمُجَالَسَةِ لِلْخَلِيلِ |
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しばしば同席していたが、彼いわく、 |
مَا سَمِعْتُ ٱلْخَلِيلَ يَقُولُهَا إِلَّا لِسِيبَوَيْهِ |
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私はハリールがその言葉をシーバワイヒ以外の者に言うのを聞いたことがない。 |
وَكَانَ قَدْ وَرَدَ إِلَى بَغْدَادَ مِنَ ٱلْبَصْرَةِ |
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シーバワイヒはバスラからバグダードに来ていた。 |
وَٱلْكِسَائِىُّ يَوْمَئِذٍ يُعَلِّمُ ٱلْأَمِينَ بْنَ هٰرُونَ |
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そのとき、キサーイーはアミーン・ブン・ハールーン・ |
ٱلرَّشِيدِ |
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ラシードに教えていた。 |
فَجَمَعَ بَيْنَهُمَا وَتَنَاظَرَا وَجَرَى مَجْلِسٌ |
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アミーンは2人(シーバワイヒとキサーイー)を集め、2人は議論し、会合が開かれたが |
يَطُولُ شَرْحُهُ |
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それを説明すれば長くなる。 |
وَزَعَمَ ٱلْكِسَائِىُّ أَنَّ ٱلْعَرَبَ يَقُولُ |
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キサーイーは、アラブ人は次のように言うと主張した。 |
كُنْتُ أَظُنُّ ٱلزُّنْبُورَ أَشَدَّ لَسْعًا مِنَ ٱلنَّحْلَةِ |
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「私はスズメバチはミツバチより強く刺すと思っていたが |
فَإِذَا هُوَ إِيَّاهَا |
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فإذا هو إياها (スズメバチもミツバチも同じだった」(対格を使う) |
فَقَالَ سِيبَوَيْهِ لَيْسَ ٱلْمَثَلُ كَذَا بَلْ |
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シーバワイヒは言った。その例はそうではなく |
فَإِذَا هُوَ هِىَ |
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「فإذا هو هى 」である。(主格を使う) |
وَتَشَاجَرَا طَوِيلًا وَٱتَّفَقَا عَلَى مُرَاجَعَةِ عَرَبِىٍّ |
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2人は長い間議論した。そして、次のことに意見が一致した。 |
خَالِصٍ لَا يَشُوبُ كَلَامَهُ شَىْءٌ مِنْ كَلَامِ |
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開けた土地の人の言葉が少しも混ざっていない |
أَهْلِ ٱلْحَضَرِ |
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純粋のアラブ人に問い合わせることである。 |
وَكَانَ ٱلْأَمِينُ شَدِيدَ ٱلْعِنَايَةِ بِٱلْكِسَائِىِّ |
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アミーンはキサーイーが自分の師であるために、非常に |
لِكَوْنِهِ مُعَلِّمَهُ |
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ひいきしていた。 |
فَٱسْتَدْعَى عَرَبِيًّا وَسَأَلَهُ |
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そこでアラブ人を呼び寄せ尋ねた。 |
فَقَالَ كَمَا قَالَ سِيبَوَيْهِ |
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彼は言った。シーバワイヒが言った通りだ。 |
فَقَالَ لَهُ نُرِيدُ أَنْ تَقُولَ كَمَا قَالَ ٱلْكِسَائِىُّ |
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アミーンは彼に言った。我々はキサーイーの言ったように言ってほしい。 |
فَقَالَ إِنَّ لِسَانِى لَا يُطَاوِعُنِى عَلَى ذٰلِكَ |
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彼は言った。私の舌はそのようには私に服従しない。 |
فَإِنَّهُ مَا يَسْبَقُ إِلَّا إِلَى ٱلصَّوَابِ |
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舌は正しいところ以外には先に行かないのだ。 |
فَقَرَّرُوا مَعَهُ أَنَّ شَخْصًا يَقُولُ قَالَ سِيبَوَيْهِ |
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彼らは彼と次のように取り決めた。誰かが、シーバワイヒ |
كَذَا وَقَالَ ٱلْكِسَائِىُّ كَذَا فَٱلصَّوَابُ مَعَ مَنْ |
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はこう言い、キサーイーはこういうが正しいのは2人のうちどちらか、と言う。 |
مِنْهُمَا فَيَقُولُ ٱلْعَرَبِىُّ مَعَ ٱلْكِسَائِىِّ |
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そしてアラブ人が、キサーイーだと言う。 |
فَقَالَ هٰذَا يُمْكِنُ |
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彼は言った。これならできる。 |
ثُمَّ عُقِدَ لَهُمَا ٱلْمَجْلِسُ وَٱجْتَمَعَ أَئِمَّةُ هٰذَا |
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そして2人に討論会が催されて、この問題の権威者達が |
ٱلشَّأْنِ وَحَضَرَ ٱلْعَرَبِىُّ وَقِيلَ لَهُ ذٰلِكَ |
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集まった。アラブ人がやって来て、そのように言われた。 |
فَقَالَ ٱلصَّوَابُ مَعَ ٱلْكِسَائِىِّ وَهُوَ كَلَامُ |
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彼は言った。正しいのはキサーイーだ。それがアラブ人 |
ٱلْعَرَبِ |
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の言葉だ。 |
فَعَلِمَ سِيبَوَيْهِ أَنَّهُمْ تَحَامَلُوا عَلَيْهِ وَتَعَصَّبُوا |
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シーバワイヒは彼らが自分に対して結託し、一致して |
لِلْكِسَائِىِّ |
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キサーイーを助けたのを知った。 |
1 女性代名詞هاはنُسْخَةٌ(写本)という語を考えているため |
(2に続く) |