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يوم دارة جلجل ダーラト・ジュルジュルの日
وَقَالَ عَبْدُ ٱللهِ إِنَّ ٱلْفَرَزْدَقَ قَالَ |
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アブドゥッラーいわく、ファラズダクが次のように言った。 |
أَصَابَنَا مَطَرٌ بِٱلْبَصْرَةِ جَوْدٌ |
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バスラに大変豊かな雨が降った。 |
فَلَمَّا أَصْبَحْتُ غَدَوْتُ رَكِبْتُ بَغْلَةً وَخَرَجْتُ |
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私は朝になるとラバに乗って行き、ミルバドのほうへ |
نَحْوَ ٱلْمِرْبَدِ |
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出かけた。 |
فَإِذَا بِآثَارِ دَوَابَّ قَدْ خَرَجْنَ إِلَى نَاحِيَةِ |
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見ると獣の足跡が沙漠のほうに向かって |
ٱلْبَرِّيَّةِ |
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出ていた。 |
فَظَنَنْتُ أَنَّهُمْ خَرَجُوا يَتَنَزَّهُونَ وَهُمْ خُلَقَاءُ1 |
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それで私は人々が遠乗りに出かけ、当然弁当と |
أَنْ تَكُونَ مَعَهُمْ سُفْرَةٌ وَشَرَابٌ |
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飲み物を持って行ったと思った。 |
فَٱتَّبَعْتُ آثَارَهُمْ حَتَّى ٱنْتَهَيْتُ إِلَى بِغَالٍ |
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私は足跡をたどった。すると、池のそばにとめられた |
عَلَيْهَا رَحَائِلُ مَوْقَوفَةٍ عَلَى غَدِيرٍ |
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鞍を置いたラバ達のところにたどり着いた。 |
فَأَسْرَعْتُ ٱلْمَسِيرَ إِلَى ٱلْغَدِيرِ فَأَشْرَفْتُ |
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私は急いで池の方に進み、見下ろした。 |
فَإِذَا فِيهِ نِسْوَةٌ مُسْتَنْقِعَاتٌ فِى ٱلْمَاءِ |
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すると女達が水につかっていた。 |
فَقُلْتُ لَمْ أَرَ كَٱلْيَوْمِ قَطُّ وَلَا يَوْمِ دَارَةِ جُلْجُلٍ |
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私は言った。私は今日のような日を決して見たことがないし、ダーラト・ジュルジュルのような日も見たことがない。 |
قَالَ ثُمَّ ٱنْصَرَفْتُ فَنَادَيْنَنِى |
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彼は言った。そして私は立ち去った。すると彼女たちが私を呼んだ。 |
يَا صَاحِبَ ٱلْبَغْلَةِ ٱرْجِعْ نَسْأَلْكَ عَنْ شَىْءٍ |
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ラバの主よ、お戻り下さい、尋ねたいことがあります。 |
فَٱنْصَرَفْتُ إِلَيْهِنَّ وَقَعَدْنَ فِى ٱلْمَاءِ إِلَى |
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私は彼女達のところへ行った。彼女達はのどまで水に |
حُلُوقِهِنَّ |
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入って座った。 |
ثُمَّ قُلْنَ نَسْأَلُكَ ٱللهَ إِلَّا حَدَّثْتَنَا حَدِيثَ يَوْمِ |
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そして彼女達は言った。神かけてお願いします、ダーラト |
دَارَةِ جُلْجُلٍ |
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・ジュルジュルの日の話をして下さいませんか。 |
قَالَ فَأَخْبَرْتُهُنَّ كَمَا كَانَ |
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彼は言った。それで私が彼女達に、あったことを話した。 |
قَالَ عَبْدُ ٱللهِ بْنُ رَأْلَانَ قُلْتُ يَا أَبَا فِرَاسٍ |
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アブドッラー・ブン・ラアラーンは言った。私は言った。 アブー・フィラース(ファラズダクのこと)よ、 |
وَكَيْفَ كَانَ حَدِيثُ يَوْمِ دَارَةِ جُلْجُلٍ |
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ダーラト・ジュルジュルの日の話はどのようなものだったのか。 |
قَالَ حَدَّثَنِى جَدِّى وَأَنَا يَوْمَئِذٍ غُلَامٌ حَافِظٌ |
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彼は言った。私の祖父が私に話してくれたのだが、その |
لِمَا أَسْمَعُ |
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とき私は聞いたことを覚える子供だった。その話はこうである。 |
أَنَّ ٱمْرَأَ ٱلْقَيْسِ كَانَ عَاشِقًا لِٱبْنَةِ عَمِّهِ |
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イムルウ・ル・カイスはウナイザと言われる従妹に |
يُقَالُ لَهَا عُنَيْزَةُ وَأَنَّهُ طَلَبَهَا زَمَانًا فَلَمْ |
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恋をしていて、長い間彼女を求めたが、 |
يَصِلْ إِلَيْهَا |
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近づけなかった。 |
فَكَانَ مُحْتَالًا لِطَلَبِ ٱلْغِرَّةِ مِنْ أَهْلِهِ فَلَمْ |
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彼は家族の油断をうかがう工夫をしていたが、それは |
يُمْكِنْهُ ذٰلِكَ حَتَّى كَانَ يَوْمُ ٱلْغَدِيرِ وَهُوَ |
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できなかった。池の日、すなわちダーラト・ジュルジュル |
يَوْمُ دَارَةِ جُلْجُلٍ |
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の日が来るまでは。(ダーラト・ジュルジュルは地名) |
وَذٰلِكَ أَنَّ ٱلْحَىَّ ٱرْتَحَلُوا فَتَقَدَّمَ ٱلرِّجَالُ |
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それはこういうことである。部族の者が出発することになり、男達が先に行き、 |
وَخَلَفُوا ٱلنِّسَاءُ وَٱلْعَبِيدُ وَٱلْعُسَفَاءُ وَهُمْ |
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女達、奴隷達、عسفاء ―雇人達のこと、単数形はعسيف |
ٱلْأُجَرَاءُ وَاحِدُهُمْ عَسِيفٌ وَٱلثَّقَلُ |
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―と荷物は後に行った。 |
فَلَمَّا رَأَى ذٰلِكَ ٱمْرُؤُ ٱلْقَيْسِ تَخَلَّفَ بَعْدَ |
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イムルウ・ル・カイスはそれを見て、仲間から、矢の届く |
قَوْمِهِ غَلْوَةً فَكَمَنَ فِى غَيَابَةٍ مِنَ ٱلْأَرْضِ |
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距離、離れて後から行った。そして土地のくぼみで待ち伏せをした。 |
حَتَّى مَرَّ بِهِ ٱلنِّسَاءُ |
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やがて女達が通りかかった。 |
فَإِذَا فَتَيَاتٌ فِيهِنَّ عُنَيْزَةُ |
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娘達が来て、その中にはウナイザもいた。 |
فَلَمَّا رَأَيْنَ ٱلْغَدِيرَ قُلْنَ لَوْ نَزَلْنَا فِى هٰذَا |
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彼女らは池を見ると言った。この池に下りて、 |
ٱلْغَدِيرِ وَٱغْتَسَلْنَا لِيَذْهَبَ عَنَّا بَعْضُ |
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幾分でも疲れをとるように、体を洗ったら |
ٱلْكَلَالِ |
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どうでしょう。 |
قَالَتْ إِحْدَاهُنَّ فَٱفْعَلْنَ |
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1人が言った。そうしなさい(そうしましょう)。 |
فَعَدَلْنَ إِلَى ٱلْغَدِيرِ فَنَزَلْنَ وَنَحَّيْنَ ٱلْعَبِيدَ |
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そして彼女らは池のほうへ道をそれ、下りて、奴隷達を |
عَنْهُنَّ وَدَخَلْنَ ٱلْغَدِيرَ |
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遠ざけて、池に入った。 |
فَأَتَاهُنَّ ٱمْرُؤُ ٱلْقَيْسِ مُخَاتِلًا وَهُنَّ غَوَافِلُ |
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イムルウ・ル・カイスは彼女らが油断しているとき、こっそり近づき、 |
فَأَخَذَ ثِيَابَهُنَّ وَهُنَّ فِى ٱلْغَدِيرِ ثُمَّ جَمَعَهَا |
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彼女らが池にいる間に彼女らの着物を取り、それらを集めて |
وَقَعَدَ عَلَيْهَا |
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その上に座った。 |
وَقَالَ وَٱللهِ لَا أُعْطِى جَارِيَةً مِنْكُنَّ ثَوْبَهَا |
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そして言った。神に誓って、あなたがたのどの娘にも着物を渡さない、 |
وَلَوْ ظَلَّتْ فِى ٱلْغَدِيرِ إِلَى ٱللَّيْلِ |
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たとえ夜になるまでそのまま池にいたとしても、 |
حَتَّى تَخْرُجَ كَمَا هِىَ مُتَجَرِّدَةً فَتَكُونَ هِىَ |
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裸のまま出てきて、本人が着物を |
ٱلَّتِى تَأْخُذُ ثَوْبَهَا |
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受け取るまでは。 |
فَأَبَيْنَ ذٰلِكَ عَلَيْهِ حَتَّى ٱرْتَفَعَ ٱلنَّهَارُ |
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彼女らはそれを拒んだが、とうとう日が高くなり、 |
فَخَشِينَ أَنْ يُقَصِّرْنَ دُونَ ٱلْمَنْزِلِ ٱلَّذِى |
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目的の宿泊所に達しないことを |
يُرِدْنَهُ |
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怖れた。 |
فَخَرَجَتْ إِحْدَاهُنَّ فَوَضَعَ لَهَا ثَوْبَهَا نَاحِيَةً |
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それで彼女らの1人が出てきた。彼はかたわらに着物を置いてやった。 |
فَمَشَتْ إِلَيْهِ فَأَخَذَتْهُ وَلَبِسَتْهُ |
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彼女はそこへ歩いて行き、それを取って、着た。 |
ثُمَّ تَتَابَعْنَ عَلَى ذٰلِكَ حَتَّى بَقِيَتْ عُنَيْزَةُ |
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それから彼女らは次々と後へ続き、ウナイザが残った。 |
فَنَاشَدَتْهُ ٱللهَ تَعَالَى أَنْ يَضَعَ لَهَا ثَوْبَهَا |
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彼女は、いと高き神に誓って、着物を置いてくれるよう、彼に頼んだ。 |
فَقَالَ لَا وَٱللهِ لَا تَمَسِّينَهُ دُونَ أَنْ تَخْرُجِى |
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しかし彼は言った、いや、神に誓って、彼女らが出てきたように |
عُرْيَانَةً كَمَا خَرَجْنَ |
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裸で出てこなければ、それにさわれない。 |
فَخَرَجَتْ وَنَظَرَ إِلَيْهَا مُقْبِلَةً وَمُدْبِرَةً |
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それで彼女は出てきた。彼は彼女の一進一退を見ていた。 |
فَوَضَعَ لَهَا ثَوْبَهَا فَأَخَذَتْهُ فَلَبِسَتْهُ |
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そして着物を置いてやり、彼女はそれを取って、着た。 |
فَأَقْبَلَ ٱلنِّسْوَةُ عَلَيْهِ فَقُلْنَ لَهُ |
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女達は彼に近づき、言った。 |
غَدِّنَا فَقَدْ حَبَسْتَنَا وَجَوَّعْتَنَا |
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私達に食べさせて下さい、あなたが私達を足止めし、空腹にさせたのだから。 |
فَقَالَ إِنْ نَحَرْتُ لَكُنَّ نَاقَتِى تَأْكُلْنَ مِنْهَا |
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彼は言った。あなたがたのために、私のラクダを殺したら、それを食べるか。 |
فَقُلْنَ نَعَمْ |
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彼女らは言った。ええ。 |
فَٱخْتَرَطَ سَيْفَهُ فَعَرْقَبَهَا ثُمَّ كَشَطَهَا |
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彼は刀を抜き、ラクダのひかがみを切って倒し、皮をはいだ。 |
وَجَمَعَ ٱلْخَدَمُ حَطَبًا كَثِيرًا فَأَجَّجَ نَارًا |
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召使達が多くのたきぎを集め、大きな火を |
عَظِيمَةً |
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燃やした。 |
فَجَعَلَ يَقْطَعُ لَهُنَّ مِنْ كَبِدِهَا وَسَنَامِهَا |
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彼はラクダの肝臓やコブやおいしい部分を彼女らのために切り取り、 |
وَأَطَايِبِهَا فَيَرْمِيهِ عَلَى ٱلْجَمْرِ وَهُنَّ يَأْكُلْنَ |
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それを炭火の上に投げ、彼女らはそれを食べ、 |
مِنْهُ وَيَشْرَبْنَ مِنْ فَضْلَةٍ كَانَتْ مَعَهُ فِى |
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彼の小さい皮袋に残っていたブドウ酒を |
زُكْرَةٍ لَهُ |
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飲んだ。 |
فَيُغَنِّيهِنَّ وَيَنْبِذُ إِلَى ٱلْعَبِيدِ مِنَ ٱلْكَبَابِ |
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彼は彼女らに歌を歌い、奴隷達にも焼き肉を投げた。 |
حَتَّى شَبِعْنَ وَشَبِعُوا وَطَرِبْنَ وَطَرِبُوا |
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やがて、彼女らも彼らも満足して楽しんだ。 |
فَلَمَّا ٱرْتَحَلُوا قَالَتْ إِحْدَاهُنَّ أَنَا أَحْمِلُ |
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彼らが出発するとき、彼女らの1人が言った。私は |
حَشِيَّتَهُ وَأَنْسَاعَهُ |
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彼のしとねとラクダの帯を運びましょう。 |
وَقَالَتِ ٱلْأُخْرَى أَنَا أَحْمِلُ طُنْفُسَتَهُ |
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別の女性が言った。私は彼の敷物を運びましょう。 |
فَتَقَسَّمْنَ مَتَاعَ رَاحِلَتِهِ بَيْنَهُنَّ وَزَادَهُ |
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彼女らは彼のラクダの荷物と食料を分配して運んだ。 |
فَبَقِيَتْ عُنَيْزَةُ لَمْ يَحْمِلْهَا* شَيْئًا |
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ウナイザは何も運ばずに残った。 |
فَقَالَ لَهَا ٱمْرُؤُ ٱلْقَيْسِ |
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イムルウ・ル・カイスは彼女に言った。 |
يَا بِنْتَ ٱلْكِرَامِ لَيْسَ لَكِ بُدٌّ مِنْ أَنْ |
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貴族の娘よ、あなたはどうしても私を |
تَحْمِلِينِى مَعَكِ |
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運ばねばならない。 |
فَإِنِّى لَا أُطِيقُ ٱلْمَشْىَ وَلَمْ أَتَعَوَّدْهُ |
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なぜなら私は歩くことはできないし、慣れてもいないから。 |
فَحَمَلَتْهُ عَلَى بَعِيرِهَا فَكَانَ يَمِيلُ إِلَيْهَا |
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そこで彼女は彼を自分のラクダに乗せた。彼は彼女の |
وَيُدْخِلُ رَأْسَهُ فِى خِدْرِهَا وَيُقَبِّلُهَا |
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ほうへ傾き、カーテンの中に頭を入れて彼女にキスした。 |
فَإِذَا مَالَ هَوْدَجُهَا قَالَتْ |
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彼女はラクダかごが傾いたとき、言った。 |
يَا ٱمْرَأَ ٱلْقَيْسِ قَدْ عَقَرْتَ بَعِيرِى |
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イムルウ・ル・カイスよ、あなたは私のラクダを殺したようなものだ。 |
(شَرْحُ ٱلْقَصَائِدِ ٱلسَّبْعِ ٱلطِّوَالِ ٱلْجَاهِلِيَّةِ |
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(出典:アンバーリーによるジャーヒリーヤ時代の |
لِلْأَنْبَارِىِّ) |
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7つの長詩の注釈) |
1 خَليقٌ の複数形 خَلِيقٌ أَنْ ~ 当然~する
* 原文のまま。 تحملها の誤りかもしれません。
☆「ダーラト・ジュルジュルの日」はイムルウ・ル・カイスの有名なムアッラカ詩に出てくる。